妄想劇場ですが、もうちょっと続きます。
地下からプロポーズしたラウディオ・ジャニェスさん(34)
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落盤事故にあって、地下深くに閉じ込められたとき、彼は後悔していた。
世の中で一番大事なのはファミリーだった。なぜ自分を11年も支えてくれた女性にちゃんとプロポーズしておかなかったのか。もう二度と会えないかもしれない妻と娘のことを思って涙が出た。
だから、その後地上と連絡が取れるようになったとき、彼は地下からプロポーズした。二度と後悔しないように。
彼は後悔していた。
乗り込んだ向かうカプセルが着々と地上に近づき、何日もも浴びていなかった太陽の光が差し込むようになってきて、地上に出れるということが確実になってきたとき、自分の行いに後悔した。
彼女の人をいらだたせる言い回しや、気が強いところや、すぐヒステリーを起こすところや、浪費家なところや、無駄な嘘をつくところや嫉妬深いところが嫌いで、11年間同居し、子供が二人もいても今までプロポーズをしていなかったことを思い出した。
周りの皆もプロポーズしていたので、うっかり乗せられてしまったが、
現実に生きて出られるとはあまり考えていなかった。
数ヶ月前、地下に潜っていったときは気楽な独身だったのに、今はもう窮屈な既婚者だ。カプセルが開いたら妻となったクリスティーナが泣きながら抱きついてくる場面を想像して、なんだかもう一度地下に戻りたいような気分にもなった。
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