『
世界の測量 ガウスとフンボルトの物語』を読みました。
2006年の世界のベストセラーでハリポタを抜いて2位らしいです。
18世紀後半から19世紀前半に活躍した二人が世界を理解するための挑戦の軌跡が描かれています。
が、読んでて苦しかったっす。映画とかだと忘れてますが、その時代、衣服繊維は発達してなく、下水道は完備されておらず、電灯もなく、虫除けスプレーもなく、エアコンもないわけで、
その辛さをいやっつーほど思い知らされます。
‐自宅で思索と研究に打ち込むガウス‐
基本的に周りの人間の頭の回転の悪さに苛立つやなやつです。
歯痛、背中の痛み、蒸し暑さ、寒さ、道の泥濘への苛立ちの描写が執拗に繰り返されます。
‐新大陸の様々な数値を測量する事に異常な執念を燃やすフンボルト‐
暑さ、悪臭、奴隷制、蚊の大群、猛獣、寒さ、怪我、高山病などの過酷な旅の描写が執拗に繰り返されます。
まぁとにかく読んでて苦しい本なんす。
が、後半がさらに苦しい。後半を読むと最初の苦しさがお気楽に見えてきます。
彼らは名声を手に入れるのですが、ガウスは昔の明晰さが失われていくことに気付き、フンボルトは有名になりすぎて、昔のような好き勝手な探検ができなくなってしまう。
歳を取ったフンボルトが進む豪華で安全な旅と比べると、アホみたいに過酷でいつも止めたいと思いながらも好きな事が望むままできた昔の旅がものすごく素晴らしく、美しかったように思われてきます。
どんなに苦しく辛いことでも、その状況が失われてから振り返ると、懐かしく輝いてみえるのかもしれません。ということを今回の学びにして4月から生きて行きたいと思います。
『人はいつだって完全な状態で戻ることなどなく、毎回必ず少しずつ衰弱し、最後にはまったく帰ってこなくなるのだ。』
どうも、1週間分衰弱して帰ってきました。
この本、かなり読みにくいんですが(原文が間接話法で書かれているのも原因らしい)、
ときどきハッとする一文があるので良ければどうぞ。
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